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概要

今日は通信テクノロジーの話です。

2012年に日本とデンマークの研究者が1ペタビットのデータを50kmのケーブルを通じて1秒で転送することに成功しました。”ペタ”というのは、”テラ”の約1000倍ですので、1テラバイトのハードディスク1000個分。だいたい10000時間分のHDビデオに相当するデータ量だそうです。

この記録達成には高性能のファイバーケーブルが使われました。

20世紀の終わりころに光ファイバーが開発されました。それまでは銅のケーブルが主に利用されていたのですが、遅く、データ量も限られていて、発熱をするものでした。光ファイバーは光の内部全反射という特徴を利用したもので、光を細いガラスのケーブルに通したとき、浅い角度であれば、ずっと光を閉じ込めることができるというものです。さらに他のケーブルに比べて信号が劣化しないという特徴がありました。

1本のファイバーケーブルには、いくつもの波長の光を通すことができ、それぞれが個別にデータを送ることが可能です。現在海底に敷設されている光ケーブルはこのような光ケーブルを何百本も束ねたものになっていて、総距離は地球の赤道30周程度にもなります。

この光ケーブルで通信が速くなったので、YouTubeのように、動画はデータセンターにあり、それをネットを通じて徐々にダウンロードしつつ見るようなストリーミングというスタイルが多く利用されるようになりました。しかし今度はデータセンター内部の転送速度がボトルネックになるようになりました。

そこで登場してきたのがシリコンフォトニックスという技術です。光は光ファイバーだけでなく、極細のシリコンワイヤーの中も通過することができます。

これを利用して、シリコンフォトニクスというチップが開発されました。このチップを利用することにより数百キロメーターものケーブルが節約できます。

このシリコンフォトニクスというチップはモバイルネットワークの制限を破壊するのにもつかわれそうです。これまで使われているGHz(ギガヘルツ)からTHz(テラヘルツ)という高周波を利用することで、これまでの千倍の速さでのデータ転送が可能ですが、これはごく近距離しか使用できません。ただ、このシリコンフォトニクスチップを複数経由することで長距離も高速での通信が可能になりそうです。

これまで光は人類に、明るさ、温かさをもたらしてくれましたが、これからは光によって情報を高速に伝達し仮想世界を広げていくことになるでしょう。

感想

以前にもいくつかこの手の動画を紹介しているのですが、これらは他のTED動画に比べて時間が半分以下と短いのです。ただ、物理的な時間は半分以下なのですが、動画のほぼ全般にわたってナレーションが淀みなく話をしていくので実は情報量としては他の動画より多く、メモを取る量も他の動画より多いくらいです。

私の住んでいるパースは日本に比べてネットがずいぶん遅い感じです。今計測してみたところ、ダウンロードが15Mbps、アップロードが4.14Mbps という感じでした。去年、光回線がようやく入ったのですが、それまではADSL2+を使っていて、その時は2-3Mbps程度しか出ませんでした。まぁYouTubeなどもそこそこ快適に見ることができますので、このくらい出れば仕方ないかと、思っています。Submarine Cable Mapを見てみてもパースのネット回線は脆弱ですねー。

現在テレビ電話というのは、オーストラリアと日本など8000kmも離れていても快適に通話をすることが可能ですが、これからの未来にはそれだけでなく、隣の椅子に座っているようなAR(拡張現実)で通話をすることができるのではないかと思っています。このようなことをするためにはおそらくもっと大量のデータを高速で送れるようになる必要があるのではないかと思います。

英語

とにかく情報量が多くて、大変でした。ところどころ難しいと思った表現もありました。

単語

souped-up 高性能になった
total internal reflection 内部全反射
crisscross 縦横に動かす、交差させる

本日のオススメ英語動画についてのコンセプト